学校の先生の仕事は、子どもの教育に携わることですが、
先生が先生の教育に携わることもあります。
(ベテランの先生が、新米の先生を教育することです)
私が過去にかかわった新米の先生の中に、対照的な二人がいました。
ひとりは、教育への知識が豊富で、仕事をミスなくこなし、授業も上手な器用なタイプ。
ですが、なぜか子ども達に人気がありません。
(教師として、申し分のない資質を持っているのに…)
もうひとりは、教育への知識が貧弱で、仕事はミスばかり、授業も下手で、子ども達に馬鹿にされる不器用なタイプ。
ですが、なぜか子ども達に人気があります。
(唯一のとりえは、子ども達とよく遊ぶことかな…)
この二人の先生を見ていると、ある噺家の話を思い出します。
ある噺家のところへ、二人のお弟子さんが入門してきました。
甲という弟子は、噺家としての才能があったのか、瞬く間に人気者になり、テレビで引っ張りだこになりました。
乙という弟子は、不器用というか、地味というか…いつまでたっても人気が出ません。
唯一のとりえは、落語を真面目に勉強することでした。
そんな乙に対して師匠は、
「芸人には、瞬間湯沸かし器みたく、すぐ沸騰して人気の出る奴と、鉄瓶のように、沸騰して人気が出るまで時間がかかる奴がいるんだ。お前は、鉄瓶におなり…」
と言ったそうです。
それから、十数年後。
自分の才能に溺れ、努力を怠った甲は、噺家を辞め、芸能界からも去りました。
不器用な乙は努力を続け、噺家として、大看板になっていました。
成長するスピードが速い人がいる。
ゆっくりと成長をする人もいる。
そういうことなんですね。
さてさて、
この二人の先生は、どんな先生になりますことやら…。
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